水のアラカルト

赤潮と青潮

赤潮と青潮のイメージ図

赤潮

赤潮とは何ですか?

赤潮の様子

赤潮というのは、一般に海中の植物性あるいは動物性プランクトンが急激に異常繁殖して、水の色が変わって見えるほど増殖する現象のことをいいます。プランクトンとは、水中で浮かんだまま生活している生き物のことで、比較的大きなものもありますが、多くは顕微鏡でその形が判別できる程度の小さい生き物です。プランクトンの中には、光合成をする植物性プランクトンと、それら植物性プランクトンなどを食べている動物性プランクトンとがあります。このプランクトンは、魚介類にとって大切なエサの役割を果たしています。しかし、この植物性プランクトンが大発生して、しばしば魚介類などに大きな被害を与えることがあります。海水が赤みを帯びた色になることが多いので赤潮といいますが、必ずしも赤色になるとは限りません。(外観が緑色を帯びて見えるものもあり、それを青潮と呼ぶ場合もあります。)赤潮が発生すると、海中の溶存酸素量が異常増殖したプランクトンの呼吸作用により極端に低下したり、えらをプランクトンが傷めたりして、えらで呼吸している魚介類が窒息死します。また、最近では、赤潮現象によって増殖したプランクトンのなかには強い毒性をもつものがあっ たりして、その毒性物質が魚介類や人間に被害を与えるケースも見つかっています。

赤潮はなぜ起こるのでしょうか?

陸上の野菜や花など植物の成長には適度の雨と日光、それと肥料が必要です。水中に存在する植物性プランクトンもそれと基本的には同じなのです。河川などから海に流れ込む栄養分は、特に湾内など海水交換の悪い場所で豊富となり、陸上の作物の肥料と同じようにはたらき、その結果、植物性プランクトンの異常繁殖が起こります。生物は一般にその生物にとって住み心地のよい環境のところでは、どんどん増えていきます。夏は多くの植物性プランクトンにとって、活動しやすい季節であり、赤潮も発生しやすくなります。陸上の植物は生長するとどんどん大きくなりますが、植物性プランクトンは大きくなるかわりに分裂して数を増やしていきます。かりに、1日に1回細胞分裂していくと仮定すると、つまり1日に2倍に増えるわけですから、計算上、1週間で128倍、2週間では1万6千倍となるわけです。

赤潮のプランクトン(セラティウム)/赤潮のプランクトン(ジムノヂィニュウム)

赤潮を抑える方法は無いのですか?

一度赤潮になってしまうと、赤潮を海から取り除く方法はありません。これまでに、いろいろな機械や方法が考えられましたが、赤潮を取り除くためにはたくさんのお金がかかったり、時間がかかったりして、本当に有効なものはできていません。
薬をまく方法も考えられましたが、莫大な量の薬がいりますし、赤潮プランクトンだけを殺す薬はありません。他の魚や生き物も死んでしまう可能性があります。
また、ウイルスやバクテリア(細菌)などにより、赤潮のプランクトンだけを殺す方法の研究をしているところもありますが、まだ、実用化はされていません。

それでは赤潮が発生しないようにする方法はないのですか?

赤潮になるのは水中に栄養分がたくさんあるからです。昭和40~50年ころには工場からたくさんの栄養分が入った水が流されたり、屎尿が直接海に捨てられたりしていましたが、法律でそれらを制限するようになってから、赤潮の発生も減ってきました。更に赤潮の発生を抑えるには、川や海に流される栄養分をもっと少なくすることです。植物性プランクトンの栄養となる窒素やリンを川や海に流すのを制限する法律は、以前よりどんどん厳しくなってきています。これらの法律がきちんと守られるように見張っていくとともに、川や海を汚さないように、身の回りの暮らしにも気をつけていくことが大切です。

青潮

青潮とは何ですか?

赤潮現象のうち、外観が緑色になるものを青潮と呼ぶ場合もありますが、ここでは、そうではない一般的な青潮のことについて説明します。
青潮は、夏から秋にかけて発生しやすいといわれています。青潮とは、海水が少し青または緑がかった白色に濁る現象で、青潮になると、その海水中には酸素が全くかあるいはほとんど無いので、魚やアサリなどの貝がほとんど死んでしまうほどの被害が発生する場合もあります。

青潮はなぜ発生するのですか?

海の底の方には、長年かかって流れてきたいろいろな汚れが沈んでヘドロの状態になってたまっているところがありますが、そのヘドロは水中の酸素を使い果たしてしまうので、汚れた海の底の方では水中の酸素はなくなってしまいます。海水中には、食塩の他に硫酸イオンがたくさん含まれています。この硫酸イオンは、酸素の無い水中では、硫酸還元菌という細菌によって硫化物イオンに変わります。したがって、ヘドロが溜まっているような汚れた海の底の方には、硫化物イオンをたくさん含んでいて、しかも、酸素の無い水がたくさんたまっているわけです。
ある程度汚れた海でも、海面の近くの海水は空気中から酸素が溶け込んでいきますので、酸素は十分あり魚もすむことが出来ます。しかし、陸から海にむかって強い風が吹いたりして、海面近くの水がずっと沖のほうに押し出されたりすると、代わりに、海底の硫化物イオンをたくさん含んだ酸素の無い水が底のほうから湧きあがって来ることがあります。硫化物イオンを含んだ水は、海面近くに湧き上がってくると、卵の腐ったような臭いのする硫化水素を発生したり、硫化物イオンが空気中の酸素と反応してイオウを発生したりします。このようにして発生したイオウが光を散乱させるため、海面の色が乳白色や乳青色に見えるのです。

青潮が発生しないようにするにはどうしたらいいですか?

青潮は、海底近くにある酸素の無い水が海面近くに湧き上がってくることにより発生するのですから、海底にヘドロが溜まらないようにすることです。
したがって、赤潮が発生しないようにする方法と同じで、川や海に汚れた水を流さないようにするとともに、植物性プランクトンの栄養となる窒素やリンをできるだけ流さないようにすることです。


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