上下水道局では、将来にわたり安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画である「名古屋市上下水道経営プラン２０２８」（計画期間：令和元年度から令和10年度）の着実な遂行に努めています。令和４年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が引き続く中、市民生活や社会活動を支えるライフライン機能を維持するため、業務を継続していく体制を整えながら、安定的な上下水道サービスの提供に努めました。
給水状況については、１日平均給水量は前年度に比べて１万417立方メートル減少し、74万274立方メートルとなりました。なお、１日最大給水量は82万2,105立方メートルでした。
主要な建設改良事業として、水道基幹施設については、第５次水道基幹施設整備事業に基づき、朝日系導水路Ｂ管、春日井浄水場や鳴海配水場などの老朽化した施設の更新及び耐震化を進めました。また、大規模地震発生等に伴う広域かつ長時間の停電に対応するため、配水場の非常用発電設備の整備など停電対策に取り組むとともに、河川の氾濫により浸水被害が生じる可能性がある大治浄水場のさらなる耐水化を進め、水道基幹施設の停電対策及び耐水化を完了しました。配水管については、第５次配水管網整備事業に基づき、重要度や老朽度を評価しながら、老朽化した配水管の更新及び耐震化を進めました。また、防災拠点である指定避難所などへ至る配水管の耐震化を進めました。
これらの施設整備に加え、災害時における応急給水能力を向上させるため、給水車を１台増車するなど、応急活動体制の強化を図りました。
安心・安全でおいしい水道水を安定してお客さまへお届けするため、春日井浄水場の凝集沈澱池や活性炭注入設備の更新を進めるとともに、配水管内のクリーニングを実施したほか、小規模貯水槽水道の点検・指導及びその後の改善状況の確認などを行いました。
経営基盤の強化やお客さまサービスの向上などを図るため、営業所の業務執行体制の見直しや水道スマートメータの調査研究を進めるとともに、上下水道料金の支払いに利用可能なスマートフォン決済を拡充しました。
経営収支については、収入面において、新型コロナウイルス感染症の影響などにより厳しい状況が引き続いており、給水収益は前年度に比べ３千万円余の減収となりました。支出面においては、急激なエネルギー価格の高騰に伴う電力費の高騰などの影響で維持管理費が前年度に比べ大幅に増加したことなどにより、３億８百万円余の当年度純損失を計上しました。

令和４年度名古屋市水道事業損益計算書、貸借対照表(pdf 57kb)

《収益的収支の概況と貸借対照表》

水道水１立方メートルを作るのに要した費用は157.46円（消費税等を除く、以下同じ）で、その内訳は以下のとおりでした。

事業活動の結果発生した純利益については、老朽施設の更新や耐震化を進めるための財源などに活用しておりますが、令和４年度は、急激なエネルギー価格の高騰に伴う電力費の高騰などの影響で維持管理費が前年度に比べ大幅に増加したことなどにより、約３億円の純損失を計上しました。
上下水道事業を取り巻く経営環境は極めて厳しい状況にありますが、安定的な上下水道サービスを将来にわたって維持していくため、さらなる収益の確保や経費の削減などの経営努力に努めてまいります。