名古屋市上下水道局

幻に終わった汚泥の有効利用

最終更新日:2022年04月01日

 下水処理から発生する汚泥は、当初は肥料として、現在では焼却してその焼却灰を改良土、セメントなどの原料として有効利用したり、汚泥を乾燥させ固形燃料とし、石炭等の代替燃料として利用されています。

 このページでは、昭和30年代に「金のなる下水」として脚光を浴びた計画を紹介します。
 「赤いビタミン」をご存知でしょうか。造血ビタミンとして貧血治療に効果があるほか、飼料用としても広く使われているビタミンB12です。このビタミンは、当時、日本ではほとんど生産されず、輸入品に頼っていました。昭和30年に国立名古屋工業技術試験所で、汚泥からビタミンB12の抽出に成功したことから、名古屋市では天白汚泥処理場に実験プラントを作って、研究機関や企業と共同研究を行いました。当時の汚泥量を基に、ビタミンB12の含有量を輸入価格で換算すると、当時の金額で年間約24億円!にも相当するという試算もありました。
 しかし、この計画は、伊勢湾台風(昭和34年9月)により実験プラントが破壊されたことや、抽出・発生量と採算上に問題があって実現には至りませんでした。

昭和27年に愛知県に登録を行った汚泥肥料の登録証
昭和27年に愛知県に登録を行った汚泥肥料の登録証


伊勢湾台風で破壊された天白汚泥処理場の天日乾燥施設
伊勢湾台風で破壊された天白汚泥処理場の天日乾燥施設