名古屋市上下水道局

日本の緩速・生物ろ過に関する情報

最終更新日:2014年02月28日

日本の緩速ろ過に関する情報

1.日本の緩速ろ過の歴史

 明治20年(1887年)に日本で最初の近代的な水道施設が、横浜に導入され、計画給水人口7万人の緩速ろ過方式の浄水場が野毛山につくられました。その後の歩みを概説します。

2.日本各地の緩速ろ過施設の紹介

 日本の各地では緩速ろ過の浄水場が活躍しています。昔に比べてその数や規模は減少しているものの、上水道(給水人口5,001人以上)で541施設、簡易水道(給水人口5,000人以下)で2,000あまりの施設にものぼっています。(平成21年度)。

3.緩速ろ過による浄水メカニズム

 緩速ろ過は微生物の働きによって、水を浄化する浄水方法です。緩速ろ過池砂層の上層に藻類や微生物によって厚さ数ミリの生物ろ過膜がつくられます。水がこの膜を通過すると、にごりは粘性のある膜で取り除かれ、溶けている有機物は微生物(細菌、菌類、原生動物など)の代謝に使われます。良く管理された緩速ろ過池によって生成された水は特に水質が良く、細菌の90~99%が除去されます。

4.なごやの水道のあゆみ

 名古屋市の鍋屋上野浄水場をはじめとした施設は、大正3年(1914年)に創設され、以来100年間にわたって市民の安全でおいしい水道水の供給に活躍してきました。ここでは、なごやの水道の歴史を紹介します。

5.国際貢献で活躍する緩速ろ過

 薬品を用いず、エネルギーを多用しない緩速ろ過は運転・管理が容易で、コストの面でも安価ですむため、発展途上国の環境条件に適した技術です。その点に注目して、緩速ろ過技術による国際貢献プロジェクトが各地で進行中です。

日本の生物ろ過に関する情報

緩速ろ過以外で、日本の水道で用いられている生物ろ過には、次のものがあります。

1.生物活性炭

 生物活性炭は、水をきれいにする微生物が表面に付着した活性炭で、活性炭の吸着効果と微生物による分解効果により水をきれいにします。活性炭には、とても細かい無数の孔があって表面積が大きいため、においの原因となる有機物等を吸着してすることができます。また、アンモニアやオゾン処理で微生物が使いやすい形になった有機物は、活性炭の表面の生物によって分解され、おいしい水が作られます。

○高度浄水処理のメカニズム

 高度浄水処理は、オゾンと生物活性炭による浄水処理のことをいいます。まず、オゾン処理で、有機物を分解して、微生物が利用しやすい形にします。そのあと生物活性炭の中に住む微生物がそれを分解します。これは自然の浄化作用と同じもので、これによって安全でおいしい水が作られます。

高度浄水処理施設(オゾン・粒状活性炭処理)を持つ水道事業体一覧



2.接触酸化法

 河川の水質が悪くなった昭和40年代末から昭和50年代には、水道の原水水質を改善するための装置が開発されました。"河川を小さく折りたたんでタンクに詰め込む"という発想で開発された、蜂の巣状(ハニコーム)とエアーリフトを用いた装置、回転円板の表面に生物を付着させた回転円板方式や、緩速ろ過の生物作用とろ過機能をより効率的に生かした生物接触ろ過方式などがあります。
 回転円板法や接触酸化法など生物膜法は下水や廃水処理用として欧州で開発されました。日本では、昭和40年代から水道での利用が研究され、50年代に実用化されました。

生物処理施設を持つ水道事業体一覧