メキシコへの技術協力
最終更新日:2024年03月26日
メキシコ合衆国とメキシコ市の紹介
メキシコ合衆国はアメリカ合衆国の南にあり、人口は126,014,024人です。面積は1,960,189平方キロメートルで、日本の約5倍です。首都は名古屋市の姉妹都市でもあるメキシコ市で、公用語はスペイン語です。人口は9,209,944人で、16の行政区で構成されています。(2020年時点)
▲メキシコ合衆国周辺マップ
メキシコ市は人口世界最大級の大都市でありながら歴史的建造物が数多く残り、歴史と調和した魅力のある街並みが見られます。また世界の主要都市としては類を見ない海抜約2,200メートルの高地に位置しています。メキシコ市はかつて湖であった場所を干拓して作られた都市で、地盤が緩いという特徴があります。大きな地震が発生すると、その影響も大きくなり、近年では2017年に発生したメキシコ中部地震により、大きな被害を受けました。
▲メキシコ市の様子
メキシコ市の上下水道事情
メキシコ市の水道普及率は98.6%、下水道普及率は99.2%と高い水準で整備されていますが、様々な課題を抱えています。水道は水源の約6割以上を地下水に依存していますが、都市の発展や人口の増加により、汲み上げる地下水の量が降雨により滞水する量を大きく上回っており、地下水の枯渇が危惧されています。また、地下水のくみ上げにより地盤沈下が発生し、上下水道管などのインフラへの影響や、地質の変化による地下水の水質悪化が発生し、大きな問題となっています。
メキシコ市 | 名古屋市 | |
---|---|---|
人口 | 9,209,944人 (2020年時点) | 2,326,518人 (2024年2月時点) |
面積 | 1,494.3平方キロメートル (2020年時点) | 326.5平方キロメートル (2022年10月時点) |
水道普及率 | 98.6% (2020年時点) | 100% (2023年3月時点) |
下水道普及率 | 99.2% (2020年時点) | 99.4% (2023年3月時点) |
これまでの技術協力事業
メキシコ市への技術協力は、2005年度にJICAを通じた技術協力を開始したことを皮切りに、これまで多くのメキシコ人研修生の受け入れや、名古屋市職員の派遣を実施しています。
実施年度 | 事業名 |
---|---|
2005年度から2007年度まで | JICA草の根技術協力事業(地域提案型) 「メキシコ水道における水質管理プロジェクトⅠ」 |
2008年度から2010年度まで | JICA草の根技術協力事業(地域提案型) 「メキシコ水道における水質管理プロジェクトⅡ」 |
2011年度から2013年度まで | JICA草の根技術協力事業(地域提案型) 「メキシコシティの下水道事業改善プロジェクト」 |
2014年度から2016年度まで | JICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠) 「メキシコ市における下水処理改善プロジェクト」 |
2019年度から2023年度まで | JICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠) 「メキシコ市における上下水道震災対策強化プロジェクト」 |
〇JICA草の根技術協力事業(地域提案型)
「メキシコ水道における水質管理プロジェクトⅠ」(2005年度から2007年度まで)
本プロジェクトは、JICA草の根技術協力事業の下、メキシコ市に対して名古屋市が初めて実施した水道の技術協力プロジェクトです。1978年以来姉妹都市の関係にある両都市の親善・交流事業の一環として開始したもので、メキシコ市に水質管理手法を理解してもらうための研修や技術指導を行いました。
〇JICA草の根技術協力事業(地域提案型)
「メキシコ水道における水質管理プロジェクトⅡ」(2008年度から2010年度まで)
本プロジェクトは、前プロジェクトでメキシコ市職員が策定したアクションプランをもとに、メキシコ市における実践的な水質管理を実施するプロジェクトです。メキシコ市にてモデル配水ブロックを2箇所設定し、その区域内で残留塩素濃度など適正な水質管理を行うことができるよう、技術力の向上を図りました。
〇JICA草の根技術協力事業(地域提案型)
「メキシコシティの下水道事業改善プロジェクト」(2011年度から2013年度まで)
本プロジェクトは、メキシコ市での適正な汚泥処理計画および管路維持管理計画を策定するための人材育成を目的としたプロジェクトです。現地および日本での技術研修を通じて、メキシコ市における下水処理や汚泥処理の方法および下水管路の管理方法を改善するための技術協力を行いました。
〇JICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)
「メキシコ市における下水処理改善プロジェクト」(2014年度から2016年度まで)
本プロジェクトは、メキシコ市の下水処理水を、より安定した高い品質にするための技術・ノウハウを伝えることを目的としたプロジェクトです。下水処理場の運転管理および維持管理能力を向上させるためのマニュアル作成や、水環境を改善するために必要な市民行動をメキシコ市民に浸透させるための啓発活動の支援を行いました。
〇JICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)
「メキシコ市における上下水道震災対策強化プロジェクト」(2019年度から2023年度まで)
本プロジェクトは、メキシコ市における上下水道の震災対策を強化するため、名古屋市が持つ防災に関する知見・ノウハウを伝えることを目的としたプロジェクトです。市民参加型の応急給水訓練や、水道施設における緊急時の対応マニュアル策定など、メキシコ市で初となる様々な取り組みを実施しました。
本プロジェクトで作成した水利用の啓発教材「オリンの冒険」には、名古屋市の公式キャラクターである「はち丸」も登場しています。JICAウェブサイトでも紹介されていますので、下記リンクよりご覧ください。
以下、活動時の写真を掲載します。
~専門家派遣~
▲メキシコ市職員向けの地震対策セミナー
▲水道施設の応急対策訓練で指導する専門家
▲水道関係者向けの企業セミナー
~研修員受け入れ~
▲講義を受ける研修員
▲応急給水施設の見学
~専門家派遣~
▲メキシコ市職員向けの地震対策セミナー
▲水道施設の応急対策訓練で指導する専門家
▲水道関係者向けの企業セミナー
~研修員受け入れ~
▲講義を受ける研修員
▲応急給水施設の見学
姉妹友好都市としてのメキシコ
冒頭でも述べたように、メキシコ市は名古屋市の姉妹友好都市であり、名古屋まつりへの参加や動物園同士の交流など、様々な取り組みを行ってきました。
下記、名古屋姉妹友好都市協会のウェブサイトから交流事業についてご覧いただけます。
専門家派遣により職員が得られること
メキシコ市へ派遣される専門家は、上下水道局の職員から選任されます。海外派遣では、日本国内では体験することができない貴重な経験を得ることができます。また、技術を伝える過程でこれまでの当局の取り組みや知見を整理し再確認することができ、技術ノウハウの継承にもつながります。さらに、プロジェクトを進めていく中で様々な国の人たちと接することで価値観や文化の違いに触れることもでき、職員の価値観を豊かにするとともに、知識や知恵の拡大によって才能を伸ばし、新しい発見・発明・創造を生み出すことができます。このように海外派遣は、上下水道を支える人材の育成にもつながっています。
<名古屋市の職員採用情報>
『これまでの上下水道110年の歴史の中で、たくさんの職員が携わり、事業を支えてきました。私たちと一緒に、これからの上下水道を支えてみませんか?』
名古屋市の職員採用情報はこちらです。
● 職員採用ナビ
(注)名古屋市公式ウェブサイトにリンクしています。