名古屋市上下水道局

なごやの水道 歴史探検vol.6~東山配水場内 旧計量室とベンチュリーメータ~

最終更新日:2024年05月16日

なごやの水道 歴史探検VOL.6

(1)旧計量室

東山配水場(千種区田代町四観音道西)内の東山配水場(千種区田代町四観音道西)内の東山給水塔の西側に煉瓦造りの旧計量室があります。

大正3(1914)年に完成した名古屋市水道創設時の建物で、煉瓦は鍋屋上野浄水場の旧第一ポンプ所と同一の製品と推測され、積み方も同じ「イギリス積」です。イギリス積というのは、図1のように煉瓦の長い面だけの段、短い面だけの段を交互に積み上げていく組積造(そせきぞう)という構造の一つで、柱や梁によって建物を作り上げていくことが一般的なわが国には類例が少ない建築物です。加えて明治24(1891)年の濃尾地震で煉瓦造の建築物は大きな被害を出したため、それ以後造られることが少なくなり、建築史上意義あるものになっています。平成24(2012)年には「建築史上または本市の文化史上特に意義のあるもの、意匠上または技術上優秀であるもの」という点で評価され、「名古屋市指定有形文化財」に指定されました。

図1煉瓦イギリス積_無害化済

図1 イギリス積

旧計量室には、東山配水場から市内へ配水する量を計るためのベンチュリーメータが設置されていました。ベンチュリーメータについては後述します。

写真1は創設当時の計量室です。建築面積が12.15平方メートルの小規模な建物にも関わらず、四隅に石材を使用し、側面の窓にも旧第一ポンプ所と同じような意匠が施してあります。創設時の関係者の「名古屋初の近代水道をつくる」という熱い思いが伝わってきます。

現在、建物は使われておらず、管の更新工事に伴い建物を解体することなく、90度向きを変えて移設しました。写真2は、屋根を平成18(2006)年に補修した以降の姿です。

写真1創設期の計量室

写真1 創設期の旧計量室

写真2は、屋根を平成18(2006)年に補修した以降の姿です。

写真2現在の計量室

写真2 現在の旧計量室

(2)ベンチュリーメータ

ベンチュリーメータとは、配水場から市中へ配水する大口径の水道管の流量を計る計測機械で、イタリアの物理学者ベンチュリーが18世紀末に確立した流量計理論を元に開発された水道メータです。

電力を使用せず、振り子と錘の構造で駆動する我が国の近代水道創設期の現存する数少ない機械式メータで、東山配水場計量室に2台と、鍋屋上野浄水場に1台が確認されています。東山配水場計量室の2台は大正3(1914)年当時から設置されていたと思われ、中部管線用(口径42インチ:約107センチメートル)と南部管線用(口径36インチ:約90センチメートル)にそれぞれ設置されたものです。

写真3ベンチュリーメータ

写真3 ベンチュリーメータ

現在、水の歴史資料館でその姿を見ることができるベンチュリーメータは、昭和2(1927)年から鍋屋上野浄水場で、北部配水管線(口径36インチ:約90センチメートル)用に設置されていたものを、整備・復元したものです。

ベンチュリ―メータの見方

ベンチュリーメータの見方