名古屋市上下水道局

「水が出るのが当たり前」の生活を支えます ~前編~

最終更新日:2024年04月15日

南部管路センター江原係長


1.水道水をお届けする配水管の変遷
大正3年の給水開始当時の配水管は鋳鉄管でした。昭和40年代まで使用された鋳鉄管は、鋳鉄中の黒鉛が筋状でまだらであり、強度が低く脆いなど、材質的な弱点を多く持つものでした。その後の技術革新により、鋳鉄管中の黒鉛を球状化させることが可能となり、耐食性と強靭性に優れたダクタイル鋳鉄管が開発されました。
 

鋳鉄管の顕微鏡写真 ダクタイル鋳鉄管の顕微鏡写真
鋳鉄管の顕微鏡写真 ダクタイル鋳鉄管の顕微鏡写真

 


また、小口径の配水管においては、施工性、経済性等に優れた塩化ビニル管を主に採用してきました。しかし、平成7年の阪神・淡路大震災において、塩化ビニル管の折損被害が多発した一方で、ポリエチレン管の被害が少なかったことから、大震災以降は耐震性の高いポリエチレン管への更新を進めてきました。
 


2.道路に埋設されている水道管の維持管理
市内に4つある管路センターでは、主に道路に埋設されている水道管の維持管理業務を行っています。職員が24時間365日常駐しており、道路上での漏水や水の出が悪いなどの通報を受付け、現地で漏水の有無などを調査し、漏水修理工事の調整や監督業務を行っています。また、道路工事やガス工事など、他の埋設企業が道路を掘削する工事を行う際には、水道管が損傷しないよう影響の有無を判断し、施工時に立会い、掘削方法や防護方法などを指導する業務を行っています。

さらに、水道管を健全な状態に保つため、水管橋やバルブなどの付属設備の定期的な点検を行い、異常の早期発見・早期修繕に努めています。また、水道管内にカメラを挿入し、管の内面の状況や夾雑物の調査を行い、状況に応じて修理工事や洗浄作業を行っています。

給水管からの漏水 他企業立会
道路上での漏水 他企業工事立合の様子
 


3.工事を行う上で意識すること
道路に埋設された水道管の漏水は給水区域内で年間約1,200件発生しており、管路センターにおいて漏水修理工事の監督業務を行っています。

道路上での掘削工事や点検業務をする際は、作業を安全に実施し、歩行者や通行車両の安全を確保するために車線規制などの交通規制を行う必要があります。また、新しい水道管をつなぎ替えたりする際にどうしても断水をせざるを得ず、工事の内容によっては数時間かかる場合もあります。お客さまや地域の皆さまにご不便をおかけしていることを常に念頭に置き、より安全かつ効率的な作業となるような計画策定や工事監理を行うこと、また、お客さまのお問い合わせに対してより丁寧な説明や対応をすることを心がけています。

夜間作業
夜間作業の様子



4.ずっと安定的に水道水をお届けするために

これまで本市においては、配水管や付属設備の点検や調査業務から得られたデータをもとに作業や管理方法などの見直しを行い、新しい技術を取り入れるなどして定期的に作業計画を策定し、配水管の維持管理を行ってきました。配水管の維持管理を適切に行うことは、漏水発生率の低減や更新までの長期間にわたって配水管を健全な状態に保つことにつながり、お客さまへおいしい水道水を安定的に供給するための重要な業務となります。

水道水は、飲用だけではなく、手洗いやうがいに使用することで感染症を予防するなど衛生面でも重要な役割を担っています。お客さまにとって「蛇口から水が出るのが当たり前」な生活を支えているという思いを誇りにし、これまで110年にわたり職員が培ってきた経験や技術を継承するとともに、次の100年も安心安全ななごやの水道水の安定供給を継続していくことを目標に、業務を進めていきたいと思います。
 
給水車と江原係長
災害時の応援派遣業務にも出動します

 (注) 配水管と道路取付管の総称として「水道管」と表現しています。


<水道をつくる人たち>
 ●水道01/安定した水源を確保するために

 水道02/持続可能で強靱な水道システムを構築します
 水道03/安全でおいしい水道水を作り続けます
 水道05/「水が出るのが当たり前」の生活を支えます ~後編~


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