名古屋市上下水道局

持続可能で強靱な水道システムを構築します

最終更新日:2024年04月15日

工務課小島技師


1.建設から維持管理へ
大正3年に給水を開始した名古屋の水道は、当初の給水人口が約2万5千人でしたが、60周年を迎えた昭和49年には約214万人を超える大規模水道へと成長しました。この頃から、水需要の伸びは鈍化し、増大する水需要に対処するため水量確保に追われる「建設の時代」から、質の充実に力を入れる「維持管理の時代」へと転換していくこととなりました。

「維持管理の時代」では、施設の老朽化対策に加え、耐震化の取組が重要となっています。とりわけ、平成14年に本市が新たに東海地震の地震防災対策強化地域に指定されたことや、平成24年に南海トラフ巨大地震による津波高、浸水域および被害想定が公表されたことを受け、今日まで施設や管路の耐震化に取り組んでいます。

耐震管の布設工事
耐震管の布設工事



2.水道基幹施設の設計部署

工務課では、浄水場・配水場をはじめ、導水管・送水管など水道施設の根幹に関わる設計業務を行っています。年間の建設改良費約97億円を執行しており、事業計画の目標達成に大きな役割を担っています。さらに、PPP/PFI手法をふまえた新たな事業方式の採用、新技術の導入、大規模工事における安全性の確保や周辺環境への配慮など技術的な課題に日々取り組んでいます。

今後の100年を見据える中、リニア中央新幹線の開通に伴って発展が見込まれる名古屋駅周辺地区への安定給水を目的に、南海トラフ地震に備えて朝日取水場から大治浄水場へ送る導水管(以下、朝日系導水路)の耐震化を進めています。
 
工務課_設計の様子工務課_現地での調整
設計する様子現地での調整の様子
 



3.設計をする上で意識すること
基幹施設の工事は長期間におよぶため、騒音、振動の発生抑制など、周辺に住むお客さまの生活に支障をきたさないように進めています。その設計にあたっては、施工方法や周辺環境への影響について十分に検討し、市街地に適した工法の採用や現場担当者と一体となってお客さまの理解を得られるよう努力しています。

現在、担当している朝日系導水路の耐震設計では、将来の給水人口の減少や経済性等を考慮して新設管の口径を設定し、既設管内に新設管を布設するパイプインパイプ工法を採用することとしました。この工法は、耐震化する管路の起点と終点を掘削して立坑を築造し、発進側となる立坑から既設管内に順次新設管を挿入します。この工法を採用することで、耐震化する区間すべてを掘削する必要がなくなり、従来の開削工法と比較して、騒音・振動の発生抑制、工期短縮、工事費の縮減が可能となります。
 

PIP工法
パイプインパイプ工法



4.持続可能で強靱な水道システムのために
基幹施設の整備は多額の費用を要し、整備期間も長期間となります。また、建設後は一世紀を超えて維持管理し続ける重要施設です。職員としてこれら大規模工事に携われることは誇りであり、得られた技術や経験を継承していくことが大切と考えています。

本市の水道事業は、大正3年に鍋屋上野浄水場から給水を開始して以来、110年の間、お客さまのもとへ水道水を届けるとともに、安定した給水ができるよう基幹施設の整備や更新を行ってきました。その基幹施設の多くは、昭和40から50年代にかけて建設され老朽化が進んでいます。一方、更新にかかる費用面等からすべての施設を一斉に更新することは困難であるため、事業費や更新時期の平準化を図り計画的に更新していくことが求められます。

将来に向けて、「断水のないなごやの水道」を継続していけるよう、持続可能で強靱な水道システムの構築に向け、水需要の動向を考慮し施設規模の適正化を図りながら、基幹施設の更新や耐震化を計画的に進めていきます。
 

工務課_自席写真
施設の設計を通して将来に思いを馳せる

 


<水道をつくる人たち>
 ●水道01/安定した水源を確保するために

 水道03/安全でおいしい水道水を作り続けます
 水道04/「水が出るのが当たり前」の生活を支えます ~前編~
 ●水道05/「水が出るのが当たり前」の生活を支えます ~後編~


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