名古屋市上下水道局

安定した水源を確保するために

最終更新日:2024年04月15日

水道計画課_福井技師



1.水需要と水源の歴史
名古屋の水道の水源は木曽川です。当初は入鹿池(愛知県犬山市)を水源とする案が検討されましたが、将来の人口増加を見据え、水量が豊富で水質も良質な木曽川を水源とする案が最終的に採用されました。実際に名古屋市の人口は隣接町村の編入や経済発展に伴って増加を続け、昭和初期には100万人を突破し、現在では230万人を超えます。水需要の増加に伴い、給水能力の向上を図るため、これまで8期にもわたる拡張事業を行ってきました。同時に、木曽川以外にも水源を求め、現在では長良川や揖斐川の水利権を有しており、渇水時にも安定した給水サービスを確保できるよう、多系統化を図っています。
 

1_水道計画課_写真_ W.K.バルトン 1_水道計画課_写真_上田敏郎
水道普及の基礎を築いたW.K.バルトン氏 水源を木曽川に求めた上田敏郎氏


また、水源地域との連携・協力を推進するため、水環境保全の方策について意見交換を行う「木曽三川流域自治体連携会議」を設立したほか、自然学習や木工体験等を通じて、次世代を担う子どもたちに水源保全の大切さについて学んでいただく「水源地探検隊」を開催しています。

水源地探検隊
水源地探検隊イベントの様子



2.水源の調整窓口
本市はこれまで、経済成長に合わせて増加してきた水需要に対応するため、岩屋ダムをはじめとした水源開発に参画してきました。こうして確保してきた本市の水源施設は、利水・治水・発電など多くの関係者が存在するため、(独)水資源機構が施設管理者となって管理しています。

水道計画課の業務としては、費用を負担するユーザーの立場から、水資源機構に対して水源施設の維持管理内容や負担する費用の妥当性のチェックを行うほか、河川法に基づき河川管理者と取水に関する協議などを行っています。また、渇水などの水源に係る突発的な事象への対応の指揮をとる部署でもあり、水源や取水に係る名古屋市の調整窓口としての役割を担っています。

水道計画課_ウェブ会議の様子
ウェブ会議で打ち合わせを行う様子
 


3.協議をする上で意識すること
当課の役割は、いわば「水道水の原料の仕入れ役」であり、水道事業の中で最も根本的かつ重要な業務のひとつであると認識しています。私個人としては、こうした業務に係わることに大きな責任を感じるとともに、大きなやりがいを感じています。

また、水源の確保に関しては、大正3年の給水開始から続く長い歴史があります。この長い歴史の中で、本市は国や県、漁業関係者等と幾度となく協議・調整を行ってきました。業務を進めていくにあたっては、こうした先人が積み上げてきた過去からの経緯を頭に入れ、それを前提にして検討していくことが重要であると感じています。
 

徳山ダム1 水道計画課_ダム2
ダムまで出向いて調整を行うこともあります 徳山ダムのダム湖

 
 

4.「断水のないなごやの水道」を続けていくために
安定した水源を確保してきた先人たちの先見の明により、本市は給水開始から110年間「断水のないなごやの水道」を継続してきました。

しかし近年、気候変動による渇水リスクの増加のほか、令和4年の明治用水頭首工の漏水や台風に起因する静岡市における取水口の閉塞など、水源に係るリスクが顕在化しています。今後の100年を見据え、こうしたリスクに対応していくためには、本市の確保した水源を有効活用していく必要があり、水道計画課にはその実現のための計画の立案や関係機関との調整が求められます。今後も「断水のないなごやの水道」を継続し、お客さまから信頼される上下水道事業であり続けるために、私も組織の一員として貢献していきたいと考えています。

水道計画課_仕事を語る
先人たちの努力を語る福井さん

 


<水道をつくる人たち>
 ●水道02/持続可能で強靱な水道システムを構築します

 水道03/安全でおいしい水道水を作り続けます
 水道04/「水が出るのが当たり前」の生活を支えます ~前編~
 水道05/「水が出るのが当たり前」の生活を支えます ~後編~



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