名古屋市上下水道局

名古屋市水道事業の近代化遺産 ~旧第一ポンプ所と旧計量室~

最終更新日:2022年04月01日

 鍋屋上野浄水場旧第一ポンプ所と東山配水場旧計量室は、名古屋市水道事業創設時である大正3(1914)年に建てられた煉瓦造の建物です。

 本市では明治24(1891)年の濃尾地震において、煉瓦造の建物に被害が目立ったことから、その後しばらく煉瓦造の建設が敬遠されます。さらに、第二次世界大戦における戦火や高度成長期以降のスクラップ・アンド・ビルドにより滅失してしまったため、現存する煉瓦造の建物は非常に少なくなっています。

 建物の特徴である、赤煉瓦の壁を地として扱い、開口部周りに白い石材等を置くことで、開口部を強調して表現する設計手法は、19世紀のイギリスで流行したクイーン・アン様式と同じです。イギリスのクイーン・アン様式の建物が、市街地の中に建てられ、街並みに溶け込むように周囲の景観に配慮して建てられているのに対して、これら建物は周囲の街並みに配慮する必要のないことから、後期ルネサンス様式の意匠や20世紀初頭のエドワード朝の時代に流行したエドワーディアン・クラシズムの影響も多分に受けているという特徴があります。

 旧第一ポンプ所と旧計量室は、本市の貴重な文化財であることが認められ、平成24(2012)年に、名古屋市指定有形文化財に指定されました。また、旧第一ポンプ所は、令和2(2020)年に景観重要建造物に指定されています。
鍋屋上野浄水場でろ過した水道水を高台にある東山配水場へ送っていた旧第一ポンプ所景観重要建造物を示す看板
鍋屋上野浄水場でろ過した水道水を高台にある東山配水場へ送っていた旧第一ポンプ所

東山配水場からの流量を計ったベンチュリメータを収納していた東山配水場旧計量室
東山配水場からの流量を計ったベンチュリメータを収納していた東山配水場旧計量室