木曽三川流域自治体連携会議 ―水でつながる命―

文字サイズ


平成28年度「第7回 木曽三川流域連携シンポジウム」を開催しました!

木と川
「日本水大賞審査部会特別賞」受賞記念
第7回 木曽三川流域連携シンポジウム ~水でつながる命~


木をつかうこと、考えてみませんか?
水でつながる木曽三川流域は、古くから木曽川、長良川、揖斐川の恵みをうけてきました。
健康な森のサイクルにより、豊かな水環境を支える山や森を守るため、木材の積極的な利用について流域全体で考えるシンポジウムを開催しました。

【名称】
 「日本水大賞審査部会特別賞」受賞記念
 第7回 木曽三川流域連携シンポジウム ~水でつながる命~

【主催】開会
 木曽三川流域自治体連携会議

【開催日時】
 平成29年1月19日(木)
 午後1時30分~午後4時25分(開場 午後0時30分 / 閉場 午後5時)

【開催場所】  ウインクあいち(名古屋市中村区名駅4丁目4-38)
 8階 804,805展示場

【内容】前景
 ※詳細は下記の「シンポジウムの内容」を参照
 積極的な木材利用について考える講演およびパネルディスカッション
 木曽三川流域産の木材を使ったおもちゃや家具等の展示と販売
  
参加者】
 木曽三川流域の住民など 180名

【当日プログラム】
 シンポジウム当日プログラム(pdf 1,668kb)

【シンポジウムのチラシ】
 シンポジウムチラシ表面(pdf 2,903kb)
 シンポジウムチラシ裏面(pdf 575kb)



シンポジウムの内容
木
講演

「ICTによる木材関連産業の課題解決について」桂川氏顔写真
 桂川 憲生 氏  岐阜県東白川村 地域振興課長
 岐阜県加茂郡東白川村では、注文住宅の受注棟数が激減し地域経済が衰退する原因となっていました。間取りを描くと概算建築費が自動算出されるシステムを公開し、加えて村内工務店10社、東海地区の建築士24社をグループ化するウェブビジネスモデル「フォレスタイル」についてご紹介いただきました。注文住宅のプロセスを明瞭にし価格競争を生み出して、受注棟数の増加と地域内総生産の向上に寄与しました。

「木曽の木を素敵な形で都市部へ届ける」小瀬木氏顔写真
 小瀬木 隆典 氏  株式会社Tree to Green 取締役
 長野県木曽郡大桑村で50年以上続く製材・木工メーカーである小瀬木木工所の3代目で、2013年に株式会社Tree to Greenを立ち上げました。東京原宿にオフィスを構え、東京のマーケットを中心に国産材を活用した内装や商品を展開しており、都市部を中心に木曽のヒノキをはじめとした国産材を広める、ものづくり (商品)、まづくり (内外装/家具)、ことづくり (コミュニティー/体験)についてご紹介いただきました。

「流域で紡ぐ森と人の物語」伊藤氏顔写真
 伊藤 栄一 氏 岐阜大学地域コーディネーター
 かつて、人は日々森の恵みを意識せざるを得ない暮らしを営んでいましたが、現代人は「森は大切」と思いつつも、日々の暮らしの中で「森」を実感しにくくなっているのではないでしょうか。森と人とのかかわりを、川によってつながる「流域」を舞台とした「物語」としてあらためて紡いでいき、ひとりひとりがこの物語の出演者となるように取り組む「森と人の物語プロジェクト」についてご紹介いただきました。


木
パネルディスカッションパネルディスカッション(講演者)

「木でつながる 木曽三川の上流と下流」
パネリスト
 桂川 憲生 氏、小瀬木 隆典 氏、伊藤 栄一 氏
コーディネーター
 内田 詠子 氏 フリーアナウンサー・キャスター
上流域や下流域、あるいは自治体や民間企業といった様々な視点を持つ3名の講演者が、お互いの取り組みについて質問し、続けて会場の参加者からも質問を受け、木材の積極的な利用について意見を交わしました。

伊藤氏から桂川氏への質問
伊藤氏
 「フォレスタイル」の構築にあたり、買い手側の論理をどのように把握したのでしょうか。

桂川氏
 行政ではない方へのアンケートや情報誌等のユーザーの声でキーワードを集め、村が売っている住宅と求められている住宅との差を俯瞰して見ることができるようにする作業を半年ほど行いました。売り手側が買い手側の立場に立つことはできないので、どのように情報を集めるかがキーワードでした。

桂川氏から小瀬木氏への質問
桂川氏
 建築では、部分的な工程の職人の不足により、仕事を受注できないこともあります。木曽で行われているものづくりの現場でも、木を切ってから商品にするまでに多くの技術者が携わっているが、職人の減少などの影響はありますか。
 また、補助金等以外の方法で行政に望むことはありますか。

小瀬木氏
 商品はいろいろな木工所で作っていただいており70歳を超える高齢の方もいます。役場の支援も得ながら、後継者を派遣し若手への技術継承に取り組んでいます。また、人を雇えるよう、安定的に発注できる商品開発も考えています。
 行政には横の繋がりを大事にし、木材、木工関係の取り組みを、食や観光などと連携し盛り上げてもらいたいと思います。

小瀬木氏から伊藤氏への質問
小瀬木氏
 私は下流で森とのつながりを考えるワークショップなどを開催しているが、上流の下呂市ではどのようなイベントが効果的ですか。

伊藤氏
 森林保全活動というと植樹を意識しがちだが、今は木を植える場所がなく伐採から始まるということの理解を進め、木を切る体験をしてほしいというのが今の取り組みの肝です。
 参加者は地元ではなく、まちの人が多いが、地元の人が森に関わる作業に誇りを持てないことが問題で、林業に対し、お金だけではない形で評価する仕組みを作ることが必要です。じつは、林業は税金等によりずいぶんと都市部に支えられているが、税金を払っているほうも支えられているも知らないことが多く、それを見える形にすることも重要です。

参加者からの質問1
参加者(名古屋市在住)
 森林を守るには間伐が必要であるが、間伐材の用途は広がっているのでしょうか。

桂川氏
 昭和30年から全国的に植林が進められ、全国的にはスギ、東白川村のあたりではヒノキが植えられました。昭和の終わりには直径10~15cmの細い間伐材が多くありましたが、東白川村では、間伐材といっても従来の間伐材のイメージとは違い直径20cmを超える木ばかりで、ほとんどを住宅に使っています。
 いま心配されているのは、これから20~30年たったときに50cm以上の大径木ばかりになり、柱に適した木がなくなることです。

参加者からの質問2
参加者(名古屋市在住)
 木を使わなければいけないというが、安い輸入材との価格差により、木を切り出しても収入にならない現状をどうしたらいいのでしょうか。

伊藤氏
 日本の林業は補助なしには成り立たないところがほとんどで、生産コストを下げる仕組みづくりというのが国の方向性です。じつは木材そのものの価格は高くないが製品になると高くなる、国内で加工、流通するにはお金もかかるのです。長期的な視点で、木を切って資源を平準化(細い木も太い木もある状態に)するよう、行政の支援を受けてでも取り組む必要があります。
 また、価格が高くても、かけたお金が自分たちの環境にかえってくることを意識できるようなものづくり、商品づくり、そして賢明な消費者に
育っていただくための環境教育の必要性があります。

参加者からの質問3
参加者(岐阜県可児市在住)
 川でつながる流域として、下流の人が、上流で雇用の場を創出することにも取り組んでいただきたいと思います。

伊藤氏
 上流の子供が高校を出た後に外へ出て行ってしまうのはある程度仕方ないことだが、逆に一度まちをみて経済の仕組みなどを知り、小瀬木さんのように地元に戻ってきてくれればいいと思います。雇用に関しては、地域を支える役割を誰が担うのか、自分で仕事をつくるエネルギーを子供たちに持たせることが必要で、起業する意欲を持つ人材を育て、それをフォローする教育や仕組みが必要です。

小瀬木氏
 私は、大桑村にいた頃は木工製品をかっこいいとは思わなかったが、東京では逆に昔ながらのものをかっこいいと思える人が増えているように感じ、それに関わっていこうと起業したので、一度東京に出たことに意義があったと感じています。

参加者からの質問4
参加者(岐阜県海津市在住)
 私は海津市からガイドのボランティア仲間といっしょにきたが、下流の出る幕はなにもないのか考えておりました。木曽三川公園にくる小学生に上流での取り組みをぜひとも話したいがアドバイスはありますか。

伊藤氏
 私は、すごく下流に期待しています。上流は、下流にきれいな水を流すため、山を管理する責任がありますが、上流の子供たちが森林を学び下流に対する責任を実感するには、下流の川や海、都市を見に行く必要があり、みなさんの活動は上流にとっても大事なことです。
パネルディスカッション(全景)
参加者からの質問5
参加者(名古屋市在住)
 家を建てるのは一生に一度、家具もなかなか買い替えられないが、どのように木を使うことを心がければよいか。

小瀬木氏
 私の会社では生活用品を作っているが、お風呂の椅子のように、生活の中で使っている木ではないものを木に置き換えていってほしいと思います。

桂川氏
 昭和30年代以降、大学の建築学科で木造の勉強をしなくなり、50年ぐらい前から国産材の研究が止まっているが、東京大学や国土交通省で研究が始まっており、これまで木でできなかったものが、木でできる時代がくることを願っています。高層ビルの構造材としてすでに研究が始まっています。

伊藤氏
 小さなところで、外国産の木を国産材に置き換える方法があります。年間250億膳ともいわれる割り箸の98%は外国産で、環境のために割り箸を使わないという考え方もあるが、材木から柱を作った端材を割り箸に有効に利用するという考え方もあります。

木曽三川流域全体でできること
桂川氏パネルディスカッション桂川氏
 みなさんには、水環境を守るために、山を守る理由を身の回りの人に広めてほしいと思います。
 きれいな水を安定的に使うには、山に落ち葉が必要です。山に落ち葉があると地面の土が肥え、ミミズの穴など土の中に小さなすき間(孔げき組織)があり、雨水はゆっくりと吸収されます。そして、地下水となって何日もかけて河川に流れ出ます。
 ヒノキなどの常緑樹は葉が落ちず、露出した地表から泥水が河川に流れ込み、すぐに河川が増水します。日本の森林は年間3%ずつ成長しており、間伐を行って、地表に光が差し込み、下草ができて、落ち葉ができることが必要なのです。
パネルディスカッション(小瀬木氏)
小瀬木氏
 日本の木を使いこだわりのものづくりをしながら国産材を広めていこうとしているので、普段使われている生活用品や家具を見るときに、この木はどこの木なんだろうということを気にかけ、ぜひ木曽三川流域の木で作った製品を使っていただきたいと思います。

伊藤氏パネルディスカッション(伊藤氏)
 物事は○(マル)か×(バツ)かで考えるのではなく、いろいろなものがあってこそバランスが取れます。割り箸のように、物事を多角的にみていくことで、いろいろなものを見せてくれるのが森の難しいところであり、面白いところです。多様であることの大切さについて、いっしょに森から学んでいきましょう。


木
展示ブース
展示ブース揖斐川町岐阜県揖斐川町
揖斐川の源流域で間伐作業を行い、間伐材をペレットに加工し地元の温浴施設で活用する等、地産地消に取り組んでいる活動紹介。加工品(チップ・ペレット・小径木)の展示。


展示ブース恵那市岐阜県恵那市
森林間伐のPRパネルの展示、間伐材等を利用した木工製品やヒノキ合板家具、ヒノキのお話積み木の展示・販売。


展示ブース郡上市岐阜県郡上市
岐阜県郡上市で間伐材を利用した木製品や割り箸等の木製品と、古くなった建物や黒ずんでしまった木材を蘇らせる木製品保護塗料の技術の紹介。


展示ブース下呂市岐阜県下呂市
地域産スギ・ヒノキ製品、地域産広葉樹の「雑木」を組み合わせ多様な表情で暮らしと森をつなぐ家具の紹介。


展示ブース東白川村岐阜県東白川村
国産材注文住宅ウェブサイト「フォレスタイル」の事業紹介。ヒノキの薪、ヒノキの葉の販売活動の紹介。


展示ブース木曽町長野県木曽町
長野県内で初めて、町有林整備により増加した温室効果ガス吸収量をクレジット化し、環境活動に取り組む事業者等へ販売する取組みの紹介。環境貢献型商品の販売。


展示ブース木曽広域連合木曽広域連合
講演で紹介のあった木曽産ヒノキを使用した木工製品などの展示・販売。木曽郡内で製作された「木製『ケロリン桶』」もあり。

かわたんマップ

かわたんマップ みなさんがどちらからお越しいただいたのか、地図にシールを貼っていただきました。

かわたんマップシール貼り

ブーストかわたんマップ

Adobe Readerのダウンロード PDFファイルの閲覧には、最新のAdobe Readerが必要です。